放課後、ずっと君のそばで。


非常階段への扉は、蝶番の油が切れているのか、キィーという、なんとも不快な音を立てた。


開ける時も、閉まる時も、何か不満を訴えるかのように扉が鳴く。


パタン。と扉が閉まると、今度は校舎の間を通り抜ける風の音が支配した。


暑くもなく、寒くもない。程よい春の風。


その音の邪魔をしないように、足音をたてないように慎重に階段を下りて踊り場に立つ。


そして、グラウンドを見下ろした。


4階の踊り場からは、部活に励む運動部の練習風景がとてもよく見えるんだ。


特にサッカー部がグラウンドを広く利用しているけれど、そこにコウちゃんの姿はなかった。


珍しいな。コウちゃんがいないなんて。


いつもは、私と同じで一番乗りなのに。


どうしたんだろう。



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