放課後、ずっと君のそばで。
そっか......。
完璧にとらわれすぎて、私は一番大切なことを忘れてたんだ。
音楽は気持ちに左右されるのに、今のままでは大好きだったはずの音楽を自分の手で捨てたことになる。
トランペットの音色に衝撃を受けた幼い頃の私の思いを、もう一度取り戻そう。
トランペットを握るだけでワクワクして、ソワソワして。
そんな好奇心旺盛だった小学1年生の私が、今の私の心の中で笑顔でジャンプしていた。
きっと、ずっと私の中で訴えかけていたんだ。
音楽って楽しいよ。
トランペットの音色ってすごくきれいだよって。
小さな私が、相変わらず目をキラキラさせて、少し大人になった私に伝えていたんだと思う。
「お母さん」
私の小声が、住宅街の壁に跳ね返って大きく聞こえる。
お母さんは「うん?」と優しく私を見下ろした。
「今からでも遅くないかな?」
「...え?」
「音楽が好きだった気持ちを取り戻すの、今からでも大丈夫かな」
住宅街は本当に静かだ。