放課後、ずっと君のそばで。
私たちの話し声以外、無音の世界。
お母さんはしばらく私を見て、そして小さく笑った。
「敗者復活、まだなんでしょう?」
私は大きく頷く。
「てことは、全然遅くないんじゃない? 今までの時間は、何が一番大切なのか、見直すための時間だったのよ」
「見直すための?」
「莉子だけにじゃないわ。これは、誰にでもあることよ」
誰にでも......?
「立ち止まっていたおかげで、またやる気が出てきたんでしょう? だったら結果オーライじゃない」
そう言って、お母さんがにっこり笑った。
そうか......。
スランプに陥ったのも、オーディションに落ちたのも、全部私に必要な時間だった。
無駄なんかじゃなかったんだ。
ありがとう、お母さん。
ありがとう、小さな私。
もう一度、基礎からやり直してみる。
そして、必ず、敗者復活を突破してみせるんだ。