放課後、ずっと君のそばで。
家を出てコウちゃんの家の前を通ると、既にコウちゃんの自転車はなかった。
まだ朝が早いのに、部活に行ったみたいだ。
どの部員よりも早く自主練を始めるコウちゃんは、さすがだと思う。
小学生の頃に夢見た目標に向かって、コウちゃんは努力を怠ったことがない。
見習わなきゃいけない部分だ。
私には、立ち止まっていたハンデがある。
ずっと先を好調に走っているコウちゃんに追い付けるように、全力を出そう。
私は、制服のスカートを翻して駆け出した。
最近は雨が降らなくなった。
梅雨明けはまだかもしれないけれど、ジトジトした湿気も少ない。
再スタートには最高な朝だ。
久しぶりに体が軽く感じた。
これなんだ。この気持ちなんだ。
トランペットを吹けるワクワク感。
またトランペットを手にできる興奮。
休んでいたせいで唇が鈍っているかもしれないけど、音が出せる。
そう思うだけで、心が弾んだ。
小学生の時に感じていたドキドキ感が、私の体を駆け巡っている。