放課後、ずっと君のそばで。


ああ、だからここにいたのか。


靴箱近くには、コンクリートの場所がたくさんあるから。


そこで座り込んでストレッチしていたんだね。


そうだよね。

怪我は禁物。


今、足を痛めてしまったら試合に出られなくなるもんね。


「なんか、久しぶりだな」


コウちゃんに言われて、私は眉をあげる。


「おまえが、日曜日ここにいるの」


私は静かに口角をあげた。


「頭ん中整理するのに、たくさん時間使っちゃった」


コウちゃんがボールを軽く蹴る。


軽快な音で壁に当たったボールが、またコウちゃんの足元に帰ってきた。


それを軽々と膝の上に蹴りあげ、膝からボールを落とさないように器用にコントロールしている。


「その時間がなかったらさ、おまえたぶん、今ここにいないだろ」


「......え?」


「立ち直る時間なんて人それぞれなんだし、おまえなりに考えて出した答えなんだから、これから先も大丈夫だろ」


コウ......ちゃん。


その優しさに、ジンワリと胸が熱くなった。


素敵なことを言ってくれたのに、一度も私の目を見ない不器用なコウちゃん。


そんなコウちゃんが好き。


いつも側で支えてくれる、私の大切な人。


ありがとう。



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