放課後、ずっと君のそばで。
走ってきたのか、立花くんの息は少しきれている。
私にお弁当箱を見せて、自慢の白い歯を出してニッコリ笑う。
そしてそのまま、立花くんはグラウンドを見下ろした。
「真田、すごいな」
立花くんが、少し強くなった風に目を細めた。
「練習、練習、練習。今だって休憩時間だってのに練習してるし」
「うん、そうなの。コウちゃん本当に努力家なんだ」
まるで自分のことのように自慢気に言った私。
「時間を有効に使える人なの」
私は、グラウンドでボールを追いかけて走るコウちゃんを見ながら口角を上げると、隣で立花くんが「そうなんだ」と、やっぱり私と同じように口角を上げた。
「それだけ、叶えたい夢があるんだろうな。俺らみたいに」
立花くんが私を見る。
「白石の夢はなに?」
「私の夢? 私は......」
言っていいものかどうか迷った。
またこうやってトランペットを手にしているけれど、たくさん考える時間を使ってしまい、部活に穴をあけたから。
だけど、今は迷いなく前を向いている。
言ってもいいよ、ね?