放課後、ずっと君のそばで。
少し遅れて、サッカー部の顧問が走ってきた。
「真田! 大丈夫か? 今救急車を呼んだからな」
え......救急車?
その言葉に、この前のお母さんの状況がフラッシュバックした。
パニックになりながら、お母さんと一緒に救急車に乗り込んだんだ。
そして今も、目の前でコウちゃんが痛みに苦しんでいる。
こ、怖い......。
どうなるの?
コウちゃんの足、今どうなってるの?
大丈夫だよね?
試合に影響したりしないよね?
遠くからサイレンの音が近づいてきた。
みんなが救急車を誘導し、出来ていた輪が素早くとけていく。
そして、大きなサイレンを響かせながら救急車がグラウンドに入ってきた。
救急車のタイヤから、グラウンドの砂が舞い上がる。
運転席や助手席から隊員がおりてきて、顧問に状況を確認していた。
と同時に、コウちゃんの足を診ている。
「きみ、立てるか?」
救急隊員に聞かれ、コウちゃんはようやく首を横に振っていた。
痛みが増しているのか、コウちゃんの表情がどんどん悪くなっていく。
救急隊員は時間を無駄にすることなく、コウちゃんをベッドに寝かせ救急車の後ろから車に乗せた。
一緒に顧問が付き添い、バタンと乾いた音でドアが閉まる。
そして、すぐにまたサイレンを鳴らし、救急車はグラウンドを出ていった。
......コウちゃん。
コウちゃん......。
涙がポロポロと頬を伝う。
嫌だよ......。
大きな怪我じゃありませんように。
私は祈りながら、その場に崩れた。