放課後、ずっと君のそばで。


サッカー部キャプテンからの指示。


部員達はやるせない表情を浮かべながらも、渋々教室を出ていった。


最後に残ったのは、副キャプテンの徳永くん。


彼もまた、何か言いたげにコウちゃんを見ていたけれど、唾と一緒に言葉を飲み込み、教室をあとにした。


少しだけ静けさが戻る。


私はコウちゃんの前に立ったまま、唇を噛み締めた。


机の下から少しだけ見える痛々しい足。


机の横には、きちんと2本揃えて床に置かれた松葉杖。


昨日おばさんから聞いた全治2カ月だという言葉を思いだし、涙が溢れだした。


我慢しようとすればするほど目に涙がたまり、私は涙を見られないように後ろを向いてサッと手で拭った。


「今朝、先に出て悪かったな」


私の背中に、コウちゃんが静かに言った。


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