放課後、ずっと君のそばで。


感情を表に出さないのが、コウちゃんの悪いところだ。


そんなに優しく言われたら、もう何も言えなくなるじゃん......。



4時間目の体育の授業は、運悪くサッカーだった。


なんでよりにもよって......。


タイミングの悪さに、苛立ちがつのる。


男女に別れてグラウンドでボールを蹴り合うクラスメイトを、制服のまま校舎側のブロックに腰かけて見ているコウちゃん。


変に気にしてコウちゃんを見たらいけないのかもしれないけど、私にはそんな器用なことは出来なかった。


心配で心配で、どうしてもちょこちょこコウちゃんを見てしまう。


「真田くん、本当に大丈夫なのかな」


ボールを手にしたまま動かない私に、愛美が近寄ってきて耳打ちした。


私は首を横に振って、眉を寄せる。


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