放課後、ずっと君のそばで。


足音に気づかれないようにそっとあとを追うと、コウちゃんはサッカー部の部室前にいた。


私は校舎のかげに、身を潜める。


授業中の、誰もいないシンと静まり返った部室前。


きれいに片付けられて何もない部室のドアを、コウちゃんはただずっと眺めていた。


何を考えているんだろう。


ここからでは、コウちゃんの表情がよく見えない。


校舎の壁から、少しだけ身を乗り出してみる。


「バレバレなんですけど」


突然のコウちゃんの声に、私はハッとしてまた壁に背中をつけた。


だけど、すでに見つかっていたため、観念しておずおずと前に出る。


「ごめん。バレてたか」


私は指先で頭をかいて、苦笑する。


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