放課後、ずっと君のそばで。
もやもやと気分が晴れないまま、敗者復活のオーディションを迎えてしまった。
思うことは、たくさんある。
私だけが、敗者復活に挑戦してもいいのかって......。
コウちゃんは、怪我で試合に出られないのに......。
コウちゃんは、小さい頃からの夢を、ひとつ無くしてしまったというのに......。
私は、音楽準備室の顧問の前でトランペットを固く握った。
緊張はしていない。
だけど、たくさんの複雑な思いが入り交じって、トランペットを持つ手に、力が入るんだ。
これは、私の夢を叶える最後のチャンス。
〝目指せ普門館〟
コウちゃんのことを思うと心が痛いけれど、私には立ち止まっていた時間がある。
これ以上、時間を無駄にしてはいけないよね。
コウちゃんが叶えたかった夢は、形が違うけど、私が叶えてみせるから。
だからコウちゃん。
怪我をしてしまった自分を責めないで。
どうかお願いだから、無理して笑わないで。