放課後、ずっと君のそばで。


私は、気持ちの整理がつかなくて、オーディションが終わったあと、以前コウちゃんに教えてもらった海に向かった。


荒い波の音でも聞けば、何か答えが見つかりそうな気がして。


明日から7月。


以前来たときには少し肌寒さを感じたけれど、今日は強い潮風に吹かれるとちょうどいい涼しさだった。


やっぱり潮の匂いは、暑い季節がお似合いだ。


茜色に染まる海岸。


私は、砂浜に打ち上げられた流木を探した。


あの日、コウちゃんと一緒に腰かけた、いびつな流木。


ひとりで座って、日が沈むまでゆっくり海を眺めるつもりだった。


それなのに......。


そこにはもう先客がいて、私の鼓動は、ズキズキと痛みを伴いながら早鐘を打った。


こ、コウちゃん......。



< 186 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop