放課後、ずっと君のそばで。
コウちゃんとの距離は、約5メートル程。
私が立っている場所はコウちゃんの死角だし、この荒い波の音でコウちゃんは私には気づいていない。
波の音に感謝だ。
今は、コウちゃんに会うことが出来ないから......。
帰ろう。
コウちゃんに気付かれる前に、方向転換を......。
「なんで、ここに来た?」
波の音に混じった、コウちゃんの小さな声。
心臓が飛び跳ねた。
聞き間違いであってほしいと、恐る恐る振り返ると、コウちゃんは流木に座りながらこちらを見ていた。
「なんでわかったの?」
私もまた、小声になる。
「コウちゃん、まさか後ろにも目がついてるんじゃ......」
こんな状況で冗談を言える自分に呆れる。
コウちゃんも、「そんなわけねぇだろ」と、呆れて笑った。