放課後、ずっと君のそばで。


7月7日土曜日。


午前中だけだった部活を終えて帰宅すると、お母さんが浴衣を準備して待っていた。


私服で行くと言っていたのに、なんでわざわざ準備なんか......。


「お母さん、本当に私服で行くからいいよ。ちょっと行くだけなのに」


私の部屋まで浴衣を持ってきたお母さんに言う。


どうせ浴衣を着ても、コウちゃんはいないのに......。


見せたい人もいないし、動き辛いものをわざわざ着なくても......。


「ダメよ。康介くんがいないからって、手を抜いちゃ」


ドキンっ!と、心臓が跳ねた。


まるで丸裸にされたみたいな恥ずかしさに襲われる。


「ちょ、何言ってんの!? なんでコウちゃんが出てくるのよ!」


焦った......。


いきなりコウちゃんの名前を出してくるんだもん......。



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