放課後、ずっと君のそばで。


思ってること、顔に出てるのかな。


私は恥ずかしさで火照る顔を隠すように、ひそかに鏡を見た。


だけど、またヒヤッと肩が跳ねる。


お母さんと鏡越しに目が合ったから。


お母さんは、私の後ろで、タンスの中から出していた浴衣をちらつかせた。


淡い紫に、蝶々が軽やかに飛んでいる浴衣だ。


「さぁ、早く制服脱いで。着替えて準備しなきゃ」


「う、うん......」


半ば強引に言われ、私は渋々制服を脱いでいく。


結局、コウちゃんを誘うことは失敗に終わり、愛美と立花くんと3人で行くことになったんだ。


愛美と2人だけの予定だったのに、いつの間にか立花くんもメンバーに入っていて。


不思議な組み合わせだけど、どうして立花くんも行くことになったのかは聞かなかった。


コウちゃんがいないんだから、誰と行っても同じこと。


だから何だか余計に、浴衣を着る気にはなれなかった。



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