放課後、ずっと君のそばで。


「大丈夫。私はやれる。着付けで、クラスで一番になれますように。そう思いながら帯を巻いていたの」


「.........」


「そうしたおかげで、お母さん、学年でトップだったのよ。先生達も絶賛してたんだから」


お母さんが自慢気に言った時、着付けは終了した。


鏡の前に立つ自分が、別人のように見える。


なんだか気が引き締まり、頭が冴える。


最後にお母さんは、私のヘアースタイルも整えてくれた。


浴衣にあうように、髪を一まとめにしてくれる。


「さっ、終わり」


お母さんが、私の肩をパンっと叩く。 


「はい。目を閉じて」


私は、お母さんに言われるがまま目を閉じた。


「願い事。今、叶えたいことを言ってごらん。心の中で強く思うと、願い事って、案外叶うものよ」

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