放課後、ずっと君のそばで。


「おまえ、サッカーどうすんの?」


単刀直入だ。


「は? この怪我見てわからない? できるわけねぇだろ」


また、コウちゃんがハッと笑う。


「試合、諦めんのかよ」


「だから。見てわかんねぇの? 俺、足これだぞ? 全治2か月だって顧問から話あっただろ?」


今までのコウちゃんにはない、荒れた口調だ。


全てを放棄しきった表情で、ずっと視線を砂利に落としている。


「何度俺を説得したって無駄だって。こんな使えない足じゃ何にもでき......」


パンっ!という乾いた高い音に、私はハッと口元を押さえた。


松葉づえを利用して、よろけた体を支えるコウちゃん。


徳永くんが、コウちゃんを平手で強く殴ったんだ。


コウちゃんは、右手で、口元を触った。


舌を頬に押し当てている。


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