放課後、ずっと君のそばで。


「やっぱり、ここにいた」


砂浜の流木には、腰かけるコウちゃんの姿があった。


私の声にコウちゃんは振り向き、軽く頭を下げてくる。


コウちゃんの反応は薄かったけど、私は気にすることなく、コウちゃんの横に座った。


「誰が隣に来いって言った?」


「え? 今の会釈って、ここに座れって意味じゃないの?」


わざとらしく言うと、コウちゃんは「はぁ?」と笑みを見せた。


私も小さく笑い、制服のスカートを手で押さえて海を眺める。


風が小さく吹いたり大きく吹いたり。


日が沈む時間帯でも、冷めきらない熱気を運んでくる。


海が似合う季節になってきた。


私達は、しばらく海を眺め、話す内容を考えていた。


雰囲気で、コウちゃんもそうだってわかる。


お互いを避けて会話をしない時間が長かったせいか、一言を出すのが難しい。


だって、初めてだもんね。


こんなに長い間話さなかったの。


どうやって仲直りしたらいいか......。



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