放課後、ずっと君のそばで。


私も、コウちゃんと同じように海に目を向ける。


波が引いては、また打ち寄せて。


海を見ると、私達の心と同じだなって思う。


何度も葛藤しては、解決して。


楽しいなと思ったら、気分が沈む。


時には秒単位で気分がコロコロ変わるときがあるから、自分でも不思議だなって思う。


「あ、そうだ。コウちゃん、これ」


私は、昨日、神社から短冊を取ってきたことを思い出して、鞄の中から取り出した。


「なんだよ、これ」


「短冊。昨日、コウちゃん願い事しなかったでしょ?」


コウちゃんが私の手から短冊を取る。


「七夕は終わっちゃったけど、笹はしばらく境内の横にあるから、それに書いて笹に吊るしたらいいよ」


「おまえも書いたの?」


「もちろん」


願い事の内容を聞かれるかなと思ったけど、コウちゃんは「ふーん」とだけ言って、何も聞いて来なかった。


コウちゃんはしばらく短冊を眺め、そしてそのまま何も書かずにズボンのポケットにしまった。


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