放課後、ずっと君のそばで。


「書かないの?」


私が首を傾げると、コウちゃんは力を入れて立ち上がった。


器用に片足で立ち上がり、両脇に松葉づえを挟む。


「まぁ、気が向いたら?」


あまりの素っ気なさに、私は頬を膨らませる。


「せっかく持ってきてあげたのに」


ブツブツ文句を言う私を見下ろすコウちゃん。


「ほら、帰るぞ」


私はコウちゃんを睨み上げる。


「俺んち寄ってく? 今夜カレーとか母さん言ってたけど」


その言葉に、私は目をキラキラさせて立ち上がった。


「いいの? うちのお母さん、今日夜勤なの! 何食べようかって悩んでたんだよねぇ。おばさんのカレー久しぶりだなぁ」


早口で言うと、コウちゃんはプッと吹き出して笑った。


「おまえは、色気より食い気だな」


またコウちゃんを睨み付ける。





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