放課後、ずっと君のそばで。


コウちゃんは、肩からパンパンのエナメルバックを提げ、手にはサッカーボールをふたつ持っている。


松葉づえはとれてもまだバランスのとれない歩き方にヒヤヒヤして、私はバスから降りるとすぐにコウちゃんのもとに走った。


「コウちゃん!」


私が大声で呼ぶと、コウちゃんがキョロキョロと辺りを見渡す。


そして私を見つけると、少し眉を上げてこたえた。


「もう! ダメじゃん。こんなに荷物もっちゃ!」


私は、コウちゃんの手からボールをふたつ奪い取る。


「まだ完治してないのに、無理してまた怪我したらどうするつもり? まだバランスとれないんだから、両手はいつ転んでもいいようにあけとかないと!」


私がガミガミ言うと、コウちゃんはため息混じりに笑った。


「大袈裟なんだよ。俺は大丈夫だって」


「大丈夫なわけないでしょ? 次怪我したらもう試合には出られな......ふんごっ!」


言っている途中で、コウちゃんに鼻をつままれブタのように鼻が鳴った。


「あのな、俺運動神経はいい方なの」


コウちゃんが飽きれ気味に言う。


「両手塞がってても、転びそうになった時は素早く対応できんの。誰かさんと違って」


コウちゃんに嫌みに言われ、私はつままれた鼻をさする。


「運動神経いいくせに怪我はするんだね」


嫌みを言われたら嫌みで返すしかない。


< 252 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop