放課後、ずっと君のそばで。


「おまえに運べるわけねぇだろ。結構重いんだぞ」


「だから代わろうとしたんじゃん! コウちゃんは今は持ったらダメなんだって! どうして他の部員はこんなことコウちゃんにさせるかな! 貸して!」


怒りながら言いキーパーの持ち手を取ろうとすると、また私の手は空を切っただけだった。


「いいから、おまえは練習に集中しろ」


目の前でコウちゃんが私を指差すから、私の目が中心に寄る。


ムカっとして、私は口の端を上げた。


「コウちゃんの力になろうと思ったのに、どうしていつもコウちゃん、は......」


ブツブツ文句を言っていると、私を指差していた人差し指が、ゆっくり私の唇に伸びてきた。


勢いよく出ていた言葉とともに唾を飲み込む。


え......。

な、なに?


コウちゃん、何をする、の?


「......っ!?」


コウちゃんの指が、私の唇に優しく触れ、一瞬にして全身に電流が走った。


< 259 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop