放課後、ずっと君のそばで。


「......立花と」


言葉を区切り区切り話すコウちゃん。


コウちゃんは唾をごくりと飲み込むと、深いため息とともに立ち上がった。 


「まぁ、いいや」


「え? なに?」


私は眉間にシワを寄せてコウちゃんを見上げる。


「何でもねぇよ」


「え~? ちゃんと言ってくれなきゃ気になるじゃん! ねぇ、なに? 教えてよ」 


「し、つ、こ、い」


コウちゃんに言われ、私はブスッと頬を膨らませる。


「何か飲み物買ってくるから、それまで課題やっとけよ」


「え~なんでよ」


ブツブツ文句を言いながら、コウちゃんをにらみ上げた。


コウちゃんは、階段の手すりを握り階段を下りていく。


その背中を見送り、手に持っていた問題集を階段に置いた。
 

やっぱり、課題やる気にならない。


コウちゃん、何を言うつもりだったんだろう。


立花くん......とか言ってたよね。


立花くんがどうしたの?


ああもう、ほら!


気になって、何も手につかなくなる。


コウちゃん、私のこういう性格知ってるくせに、最後まで言わずにいなくなるんだから。


コウちゃん、何が言いたかったの~!?


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