放課後、ずっと君のそばで。
「最高のコンクールだったみたいね」
「......え?」
お母さんの言葉に、私は目を丸くした。
「莉子の顔に書いてある。トランペット人生最高の最後だったって」
......お母さん。
「普門館に行くよりも、そう思えることが、素晴らしいんじゃない?」
「......うん」
「夢は普門館だったかもしれないけど」
お母さんは、そこで言葉を区切り優しく口角を上げた。
「それ以上の快挙を果たしたって、お母さん思ってるわ」
「.........」
「きっと、小学生のあなたも、この結果に満足してるでしょうね」
涙が出た。
お母さんの一言一言は、まるで塗り薬のようだ。
優しい言葉で、傷を治してくれる。
私の心の中にいる小学生の私が、普門館と書いた紙を持って笑っていた。
許してくれるの?
あなたの夢だった全国大会、行けなかったんだよ?
今の私は満足しているけど、あなたは?
私が過去の自分に問いかけると、小さな私は眩しいほどの笑顔で笑ったんだ。
私は、唇を噛み締めて、流れる涙を拭った。