放課後、ずっと君のそばで。


「俺さ、おまえのトランペットの音、すっげー好きなんだよな」


......え?

いきなり何?


「あそこでボール追いかける時、おまえのトランペットを聞くとテンションがあがるんだよ。やる気が出るっつーの?」


「コウちゃん、そんなこと思ってくれてたの?」


私のトランペットが好きだなんて。


「おまえもさ、自分が納得いくまで何回も同じとこ吹くだろ?」


「うん」


「それを聞いててさ、ああ、俺も今ここで妥協したらいけねぇな。もっともっと練習やらなきゃなって、そんな気分にさせてくれてたんだ」


......コウちゃん。


隣のコウちゃんを見ると、向かい風に目を細くしてずっとグラウンドを見ていた。


「グラウンドからも、すっげーよくここが見えてさ」


「え!?」


また心臓が早鐘をうつ。


「おまえが今何をしてるかとか、ちゃんと見なくても視角にはいるだけでわかるんだ」


あぁ~これ絶対コウちゃん見てたことバレてるじゃん!


私ももう少し気をつけて覗き見してたらよかった!


私は小さく頭をポカポカ叩いた。


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