放課後、ずっと君のそばで。
「俺が足怪我したときも、実はおまえを見てた」
「......え?」
「おまえと、立花が一緒に練習してるとこ」
「.........」
「非常階段のこの壁に隠れてふたりが見えなくなる度に集中力が切れて、あの日は、正直試合に魂が入ってなかった」
コウちゃんの横顔を見ていると、コウちゃんの眉間が少しだけ、けいれんしたような気がした。
「何してんだろうとか、立花が先におまえに告ってたらどうしようとか。ボール蹴ってんのに、そんなことばっか思ってて。それで足怪我して試合に出られなかったんだから、だせーよな」
力なくコウちゃんが笑う。
「合宿のあの夜も、自販機でお茶買って戻ると立花がおまえに告白してるし」
「え、コウちゃん、あれ聞いてたの!?」
コウちゃんがコクリと頷く。
「あの時、あぁ、終わったなと思った」
「.........」
「だから、なんかおまえに会いづらくなってさ。おまえと目が合ったら、立花と付き合うことになったとか報告されそうで」