放課後、ずっと君のそばで。


コウちゃんは階段から腰を上げると、私の方を向きながら後ろ向きにグラウンドに出ていった。

 
私は肩にかけていたカバンを階段に置き、コウちゃんを追う。


「サッカーは手を使ったらアウト。それくらいルールは知ってるだろ」


「え、あ、うん」


コウちゃんに言われ、私は慌てて手に持っていたボールを地面に落とした。


軽い音でバウンドするボール。


「こっちに向かって蹴ってみろ」


薄暗い中、ぼやけて見えるコウちゃんの手が、クイクイと手招きのように動いている。


小さく小刻みにバウンドしているボールを足で止め、私は一回大きく深呼吸した。




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