放課後、ずっと君のそばで。
「ど、どうぞ。散らかってるけど」
2階の部屋の前でドアを開けながらたどたどしくコウちゃんに言うと、コウちゃんが軽く鼻で笑った。
「今さら何を」
目を細めて笑うコウちゃんが私を見たので、私の心臓がうるさいったらありゃしない。
コウちゃんが私の部屋に来ることは、しょっちゅうあることだ。
それなのに、私は毎回緊張してしまう。
部屋に入ると、私は机の椅子に座り、コウちゃんはベッドの前に座り込んだ。
ベッドの側に無造作に転がっていた小さなサッカーボールを持ち、ポンポンと上に投げている。
このボールは、小さい頃に、家でもサッカーが出来るようにと、お母さんが買ってくれたものだ。
10年くらい経つのに、私は捨てられずにまだ持っている。
もう、色もあせて、汚くなっているのに。