放課後、ずっと君のそばで。


「何か飲む? 持ってくるよ」


「いや、いいよ。おばさん、今から寝るんだろ? 静かにしといてやろうぜ」


ポーンと高く飛んだボールは、コウちゃんの手におさまらず、跳ねて床に転がった。


ボールが床に当ると、コウちゃんは「やべっ」と少し焦り気味にボールをまた手に取った。


「コウちゃん、部活はどう? インターハイ、出られそう?」


「まぁ、問題はまだまだいっぱいあるけどな」


コウちゃんが肩をすくめて言う。


私は、「そっかぁ」と、小さく頷いた。


「素人にはわからない問題があるんだね、きっと」


「ハハ、なんだそれ」


コウちゃんが短く笑う。


「だって、見た感じ完璧に見えるんだもん、みんな。何て言うの? なんかこう、チームワークもすごくいいし」


「フンっ。 チームワークが一番最悪だよ」


「えー? 嘘だ。みんなお互いのことよく見ながら練習してるなぁっていつも思ってたけど」


私が口を尖らせて言うと、コウちゃんは眉間にシワを寄せてボールを投げる手を止めた。


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