放課後、ずっと君のそばで。
「白石!」
教室へ向かう階段を上りきったところで、男子に声をかけられた。
愛美と一緒に振り返ると、隣のクラスの立花くんが駆け足で階段を上ってきている。
立花くんは、私と同じ吹奏楽部で、楽器も同じトランペット。
同じ練習メニューをこなしているはずなのに、私よりも遥かにうまいんだ。
「どうしたの? そんなに走って」
私と愛美は、息を切らして膝に手をつく立花くんを見て、クスクスと笑った。
「いや、なんとなく? ほら、こうやって何でもない時に走ってたら筋トレになるかと思って」
ハハハと、白い歯を見せて笑う立花くん。
さすがだ。
常に部活のことを考えているから、上達するんだよね.......。
それはわかっているんだけど.......。
どうして、私には出来ないんだろう。
「あ、何か私に用事だった?」
「あー、別に用事はないけど、ただ、白石を見つけたから走ってきただけ」
そう言って、また歯を見せて笑う。
「あ! そうだ。 白石、今日の部活なんだけど、パート練からスタート......」
突然立花くんの背中に誰かがぶつかり、話の途中で立花くんが振り返った。
コウちゃんだ!