放課後、ずっと君のそばで。
音楽室の机は全部廊下に出してあり、椅子は緩やかなカーブをつけて並べてある。
私達トランペットは、一番後ろだ。
センターを境に、トランペットとトロンボーンに別れる。
立花くんは1stだから、真ん中。2ndの私は立花くんの隣。
楽譜たてに置いてある楽譜を開き、軽く音出しをして楽器を暖めた。
朝の固くなった唇を、タンギングをしてほぐす。
チューニングをし終えると、立花くんが楽譜の一部を指差した。
「白石、ここなんだけどさ、演奏中いつもズレるから、みんなが来る前にやっておこうか」
「そうだね。私もちょっと気になってたの」
コンクールで吹く予定の、とても難しい曲。
トランペットの見せ場の、テンポの早い部分があるんだ。
舌を使って軽快にリズムを刻み、早いテンポに合わせて指を素早く動かさないといけない。
舌と指がタイミングよく合わなくて、バラバラになってしまいがちなんだ。
この曲の、一番難しいところ。