放課後、ずっと君のそばで。


私達は同時に楽器をかまえ、立花くんの合図でメロディを奏でた。


ふたりの息が合って順調だと思っていると、やっぱり途中で口と指が早いテンポについていかなくなる。


演奏をやめ、メトロノームをゆっくり鳴らし、確実に演奏できるようにしてみる。


問題はなかった。


ゆっくりのテンポなら、ふたりの息はぴったりだ。


それを少し速く。

そしてもっと速く。


その部分だけの練習を繰り返した。


今までミスが多かったけど、これで少しだけ解決したような気がした。


「よかった。これで少し不安がなくなったかも」


私が安堵のため息をつくと、立花くんも同じようにため息をついた。


「こうやって繰り返しやれば大丈夫なんだけどなぁ。ずっと演奏してきてこの部分に入った時、はたして今みたいに演奏できるかだよな」


立花くんの言葉に、私は苦しく頷く。



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