放課後、ずっと君のそばで。
朝練を終えて立花くんと教室に向かうと、同じく朝練を終えたコウちゃんも教室に到着するところだった。
コウちゃんは額にうっすらと汗をかき、相変わらず白いシャツの袖を捲っている。
白いエナメルバックを肩に斜めにかけ、私達に目を向けた。
「おー。おまえらも、終わったとこ?」
そう言って、コウちゃんが私と立花くんを交互に見る。
「うん。俺らも朝から唇酷使してきたわ」
立花くんが肩をあげて苦笑する。
すると、コウちゃんの視線が、立花くんの唇に向いた。
その視線が、今度は私に移る。
ジーっと唇を瞬きもせずに見て、プイっと目を反らした。
な、なに......。
「白石、オーディションまで、これまで以上に頑張ろうぜ」
立花くんの言葉に私は頷く。
「まずはオーディション突破しないことには、何も始まらないからな」
「そうだね」
と答えてみたのはいいものの、緊張と不安に押し潰されそうだ。