放課後、ずっと君のそばで。


どこだろう......。

楽譜のどの部分だろう。


苦手なところだったらどうしよう。


タンギングが続くところだったら自信がない。


あと1週間で克服出来るだろうか......。


先生は、私達にどんな課題を出して来るだろう......。


「莉子、莉子」


私の斜め前に座る愛美が、小声で私に声をかけてきた。


ハッとして我に返ると、ざわめき出したクラスメイトが全員私の方を向いている。


教壇には、教科書片手にいぶかしげに眉を寄せる先生。


今は、4時間目の授業中だったみたいだ。


みたいだ、なんて、他人事のようだけど、部活のことで頭が一杯で、授業どころじゃなかった。


「白石、聞いてたか」


社会の男の先生に、「いえ、聞いてませんでした」と、小さく答える。


「テストが近いんだぞ。ちゃんと集中しろ」


「すみませんでした」


蚊のなくような声で答えると、クラスメイト達がクスクスと笑いだし、「ドンマイ」などと聞こえてくる。


私は、唇を噛んでうつ向いた。


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