放課後、ずっと君のそばで。


時間とは無情なもので、バタバタとただもがいていたら、とうとうオーディション当日を迎えてしまった。


日曜日。


極度の緊張で、最近食事も喉に通らなかった。


眠りについても悪夢にうなされるし、生きた心地がしない。


梅雨時期だけど珍しく晴れ間が広がる今日は、サッカー部も朝から練習があるらしく、コウちゃんと自転車で学校に向かった。


いつものように、自転車の後ろでコウちゃんの匂いに癒される余裕なんてない。


私は学校に到着するまで無言で、コウちゃんも何も言わなかった。


重たい足取りで音楽室に入ると、黒板にオーディションのスケジュールが書かれていた。


木管楽器から始まって、金管楽曲、そしてパーカッションと続く。


私達トランペットは、午後1時から。


音楽準備室に集まり、課題が発表される。


私はトランペットを片手に、飛び跳ねたり首を回したりして気を紛らわせようとした。




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