黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
「ちょ、何して」
ぎょっとして目を見開くと、ヘリオトロープはちらりと目線をやっただけでそれには答えずに浅く息を吸った。
「『私は貴方を助けたい』
『互いを結び新たな姿を為せ』」
Boostが発動し布がしゅるりと一度糸に解ける。
その後燐光と共にひらりと私の手に落ちてきたのはフードのような形の帽子だった。
「ま、多少不自然だが大丈夫だろう」
私は少し抵抗を感じて手で弄った。・・・これを被れということなのか。
そんな思いを込めて仰ぎ見ると有無を言わせない視線が返ってきたので一思いに頭に被せた。
少し見た目はあれだが、確かに外からの視界を遮ることができる範囲が広い。
「Boostってこんな使い方できるんだね。汎用性は良いって聞いてたけど・・・私も、使えたらよかったな・・・なんて」
帽子の端を引っ張りながらそう零すと、ヘリオトロープが少し黙り込んでから鼻を鳴らした。
「・・・別にこんなの、ただの応用だろう。布を別の布製品にしただけだ」
少し捲し立てるような彼のその口調は焦っているように感じて、柄にも無く照れているのかと少し微笑ましかったけれど、彼の表情を見るとそれはなんだか違うような気がした。
段々になった外套の端を大雑把に切りそろえてヘリオトロープが軽く首を振る。
その拍子に前髪の隙間から左目を覆う眼帯が覗いてきらりと銀色に光った。
その輝きにぼんやり見とれていると、ヘリオトロープがゆっくりとした歩調で歩き出す。