黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う

そして最後に立ち上がったのはオルカイトルムネ。

「ヒューマンの国、セルティカ王国の現国王、オルカイトルムネでございます。オルネとお呼びください」

男は媚びるような笑みを貼り付けてマニュアル通りの言葉を並べた。

ヒューマン、人間は容姿に特段目立った特徴はない。

強いていえばヒューマンの王族は皆白い髪に黒い瞳を持っているが、それは王族が自分たちの血を高潔な物として扱い、守ってきたというだけのことだ。

また、他の種族に比べると全てにおいて性能が格段に低く、個体数が多いことだけが長所と言っても差し支えないほどで、それを理解している人間の王たちは代々このように媚びへつらってきた。

ヒューマンの王族が皆長い名前をつけられている原因もここにあるらしい。

どうやらあえて長い名前をつけ、愛称で呼ばせることによって、親近感を抱かせ、外交を円滑に進めようという魂胆なのだそうで。

くだらない。
本当に、ヒューマンとは弱く、小賢しく狡い生き物だ。


そんなヒューマンが現在に至るまで滅ぼされず、さらにある程度の交渉さえできるのは、ひとえにこの種族がBoost“昇華”の力を持っているからである。

Boostは事象に作用し能力や性能を底上げすることができる力で、ヒューマンなら呼吸ができるのと同じくらい当然に備わっている力だ。
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