黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
珍しくも何ともないが、ただ汎用性が高く、どんなものでも底上げすることができるので無いよりはある方がいい、というのが他の種族の見解のようだ。
まあこの力に攻撃性は皆無のため、ヒューマンは常に他種族の脅威に脅かされていることにかわりはないのだけれど。
オルカイトルムネが席についたところで、一通り挨拶は終わる。
円卓に座っているのはマーメイド、ヴァンパイア、ケットシー、ドワーフ、そしてヒューマンの5種族。
しかし、実はこのセカイにはもう1種族存在する。
エルフである。
エルフ―――妖精はほとんど完璧な種族とみなされている。
好戦的な性格で運動能力が高く五感に優れ、尖り気味の耳と薄い2対の煌めく羽を持ち、金の瞳に銀に輝く髪をしており容姿がとても美しいことで有名だ。
いや、有名『だった』と言った方が正確かもしれない。
この種族は魔力というものを持っており、それを使って“魔法”と呼ばれる自然を使役する能力を使うことができ、他種族から一目置かれていた。
しかし―――現在この種族は存在しない。
古くから存在しており、元からとても個体数の少ない種族ではあったのだが、ある時、ほぼ同時に全てのエルフが姿をくらませたのだ。
私の生まれる幾分か前のようで、私は文献でしか知らないが。
しばらくの間、各々の種族から出された先鋭たちが捜索したものの見つかることは無かったため、この種族は滅んだものとされているようだ。