黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
「お前たちがどんな状況で出会ったのかは良く分からないが・・・俺が気になるのはそこでは無い。
何故、お前のような年端もいかない少女が長になる?見たところお前より年増な者は沢山いたが」
詰問するような口調にクワオアは視線を逸らした。
「その事についても、話すわ。全て―――私が話せることは全て、ね。
まず、聞いてもいいかしら?キミたちは、あたしたちケットシーのことをどれだけ知ってる?」
私はその問いに首を横に振った。ケットシーという名前と兄様に聞いた僅かな情報以外全く知らないと言っても差し支えないだろう。それからバトンパスをするように、横に座るヘリオトロープの顔を見る。
俺も答えるのか、と渋々と言った体でヘリオトロープが億劫そうに口を開いた。
「・・・俺もたいして詳しいことは知らない。見た目の特徴と身軽さ、そしてChangeの能力を持っていることぐらいしかな」
それを聞いてクワオアが軽く顎を引く。机の上のコップを暫く手のひらの中で弄んだものの、口はつけずに元に戻した。
「そう、そのChangeの能力。あたしたちにはその力を使うにあたって、制限が課せられているのよ。だってそうでしょう?なんだって無制限に変化させることができたら、それはもう神の力でしかないもの。
制限は、ふたつ。セカイの理に反しないことと、そして―――種族を変化させないこと。
このふたつに関わるものは、あたしたちの間では禁術と呼ばれて忌み嫌われているわ。
・・・それでも使おうとするなら、禁術には重い代償が必要になる」