黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
少女は耳をどこか楽しげに動かしてにっこりと微笑んだ。
「私が気になるのはこっちのお姫様の方よ。オルネ国王、この娘は?」
私から視線は逸らさないまま、そう尋ねる。
随分と無礼な態度だったが、オルカイトルムネは咎めない。彼はにこやかなまま口を開く。
「アムネシアスムリィといいます。アムリィとお呼びください。体が弱いもので、あまり外出致しませんので、皆様の耳にも届きにくいのでしょう」
とんだ大嘘だ。自分が見せまいとしているのに。
私は、王族の恥だから。
「・・・ふぅん、そうなの。それにしてもアムリィ様、もしかして話すことができないのかしら?」
そう何気無く放たれた言葉にオルカイトルムネはぎくりと肩をそびやかす。
「ええ、そうなのですよ・・・大変、残念なことですが」
そんなこと、思ってもないくせに。
クワオアは私に憐憫を含んだ視線を向けた。
「そう、あなた大変ね、よりによって唄国の姫だなんて。苦労することも多いでしょうね」
確かに立場的には辛いところはあるけれど。
口がきけないのは何も私だけということはなく、特別珍しいことではないから、クワオアはきっと今までにそういった者に会ったことがあるのだろう。
でも、余計なお世話だ。私は憐れんでほしいわけじゃない。誰にも私の気持ちなんてわからない。
私の場合は・・・望んでこうしている部分もあるのだから。