黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
それにしても、王族だと解っていて剣を向けてくるとは。考えがあってのことなのか。それともただの無鉄砲なのか。
「お前は、誰だ。何故こんなところにいる?何故あんなことを言った?
もし、何か良からぬ事を企んでいるというのなら、こちらにも考えがある」
反応の無い私に尋ねてくる、少年と青年の間を揺蕩うような絶妙な低さの声が語気を荒らげる。
それにしても、王族に対するこの当たりの強さはなんなのだろう。
まるで王族が何かをしていることを確信しているように、そしてそれに対して明確な敵意を抱いているように思える。
「・・・」
大分興味を引かれたものの、私は無言を貫く。
もし私が誰なのか、アムネシアスムリィ・ラ・セルティカ―――“籠り姫”だとバレているのなら、口を開いてはいけない。
私は話せないはずなのだから。
まあ、もう独り言を聞かれてしまったようなので、今更意味が無いことのようにも思えるけれど。
いや、それだけならまだ良い。でも、彼がずっと前からこの場にいたのなら・・・知られてしまったかもしれない。
私の秘密。
「いい加減答えろ。口が聞けないという訳では無いのだろう」
「・・・」
「ばらされても、良いんだな?」
何を、なんて、わかっている。やはりか。
・・・仕方が無い。
私は刃に当たらないように注意深く身体を反転させ、相手に敵意を持っていると思われないようにそろそろとゆっくり顔を上げた。