黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
まだどこかふざけた雰囲気をまとっていたプレティラ様が目を見開いた。
表情は硬く固まり、黄金の瞳だけが忙しなく泳いでいる。
重く苦しい長い沈黙の後、彼女は目を伏せるとやっと口を開いた。
「どこで、会ったの」
それは俺の質問に対する答えではなかったが、肯定と捉えるには充分すぎるほどに充分だった。
だから俺は、それを咎めることはせず話を続ける。
「庭園ですよ・・・もう、使われていない方の」
一国を統べる城の庭園があんなに小さな訳が無い。
あそこは、ずっとずっと昔、まだこの国が財力が無かった頃の、名残りとでも言えるものだ。今は途方もなく大きな本庭が作られている。
もう、あんな込み入った所にわざわざ立ち寄るような物好きはいない。
―――と、思っていたが。なぜ彼女はあえてあんな所に居たのだろう。
まさか、あそこがどんな場所か知らないとでも言うのだろうか?仮にも、王族、が?
・・・いや、考えるのはよそう。
どうでもいい。
そう、俺には、“王族”のあいつのことなんて全く関係無いのだから。
「そう、なのね。全く、あの子も私も逃げ隠れするのが得意なのかしらね・・・なにもこんなところ、似なくたっていいのに」
俺の言葉を聞いて、プレティラ様は自嘲するように昏く嗤った。
そうか。確かに、人目を避けるためだと思えば何もおかしなところはない。・・・そうだ。
彼女の言葉に半ば無理矢理納得して、俺は思考を放棄した。
その代わりに、俺は彼女の瞳を見つめ、問う。