黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
「教えてください。彼女が―――“貴方の娘”ですよね?
ずっと、俺に話していた、“希望”ですよね?」
淡々と紡ぐ俺の言葉に黄金が激しく揺れる。
彼女は血が滲みそうなほどきつく唇を噛み締めた。
「・・・いつかは、ちゃんと話すつもりだったのよ。ただ、あの子の髪、白でしょう・・・ヘルが王族に良い印象を持っていないのはわかっていたから・・・言い出せなくて」
わかっている。貴方が悪い訳では無いことくらいは。
どうして、貴方がこんな日々を送っているのかも。
そして、貴方と王族の間に子どもがいることも。
薄々察してはいたのだ。
噂話でわかる。彼女がこの国の隠している秘密だから。
側室と聞けばわかる。彼女が俺ももう、子供ではないから。
―――だから、王族が嫌いなんだ。
「・・・あいつの瞳は金色でしたよ、いっそ見惚れるほどに。見た瞬間、この少女が貴方の言う“希望”なのだとわかりました。髪の色が白だろうと―――王族だろうと、金色の瞳なんて貴方の娘以外に、ありえないですから」
でも、このくらい、許して欲しい。
何かを言わずにはいられない。この、不条理な世界に。
「ごめんなさい・・・でも、どうか、」
あの子のことを。
震え声でそう小さく囁いた彼女に目は合わせないまま、俺も唇が震えるのを抑えながら呟く。
「・・・俺にとって、貴方は絶対なんですよ。貴方の頼みを、断れるはずがありません」
ずっと聞いていたのだから。
いつか出会うことがあれば守って欲しいと頼まれた、彼女の娘の存在を。
彼女の、俺の―――セカイの、希望の存在を。
それでも、恨まずにはいられないのだ。
ああ、運命は何故、こんなにも非情なのだろう、と。