黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う

「うーん、いまいち僕には何がなんだったのかさっぱりなんだけど、なんだか、ダイアンは・・・アムリィを結婚させたくなさそうだったね」

なんでかなあ、と兄様は顎に手をやって唸り出す。


でも・・・確かに、私もそう思った。

婚姻だと慌てる兄様を諌めたり、無理矢理結婚させようとする国王にまだ決まっていることじゃない、と諭したり。

ダイアンの言動は、明らかに、結婚させようとする国王の言葉を遮ろうとするものだったから。

あいつにとってだって、私の存在は無条件で恐ろしくて邪魔で煩わしいもののはずだ。

私は、この国の人間にとって、汚点とも言える存在なのだから。

だから、ダイアンのあの姿は、私の目には奇妙にしか映らなかった。

あいつは、何を考えているんだろう。

本当はオルカイトルムネなんかよりも、ずっと警戒するべき相手なのではないだろうか・・・?


考え込んだせいで歩みが遅くなったからか、兄様が私を振り返った。

「大丈夫かい、アムリィ。やっぱりあんな話を聞いたら、気分が悪くなるのも当然だよね。全く父様は、なんであんな酷いことを・・・」

・・・私のことを心配しているような口ぶりだけど、兄様だって思っていることは大して変わらないんでしょう?


兄様はまだぶつぶつとぼやきながら、来たときにも開けた大きな扉を押し開けた。


きぃ、と微かに蝶番の軋む音がして、ただ、それだけ。

兄様と2人、広い通路に足を踏み出した。

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