黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う

途端目に飛び込んだ彩に、私は思わず息を呑む。

「凄い・・・」


夕焼けに緋く煌めく街並みは、帰り道を急ぐ人々を暖かく見守っているようで。

その下から迫る黒闇はさながら人々を追い立てているよう。

しかしその一方で、その黒は深く深く皓り、空を彩る星々を誘い、静かな夜の始まりを知らせているようでもあった。

色々な彩が混ざり合って、絡まり合って、複雑な表情を見せる。


綺麗だと、思った。

ずっと怖いだけだと思っていた夜の訪れを。

ひたすらに、綺麗だと。ただ、それだけを。

この光景を表す言葉を、私は持っていない。


私の手の中で、鉄の蔦がぎしりと軋んだ。

セカイは、綺麗だ。

私はそんなセカイの異端なのだ。

だから、皆に忌み嫌われても・・・確かに、仕方ないのだ、と。

そんなことを思って納得しようとしても、上手くいかない。

手はかたかたと震えて、止まらない。

嗚咽が零れるのを、我慢できない。


「・・・どうして・・・っ!」

どうして、私なの。

どうして、私が、セカイの異端なの。

どうして、私が・・・!


頭を掻き乱す感情に、大きく息を吐く。

「・・・なんて、ね」

ひとり呟き無理矢理腕から力を抜くと、蔦はするりとすり抜け、指は空を切った。

どうして、なんて。今更言ったって仕方がない。

もうそんなの、とっくの昔に諦めたはずだ。私はこの運命を受け入れる他ない。

このセカイに直接触れることのないまま、いつか、もしかしたら3日後、また別の場所に隔離されるしかない、の―――

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