黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う
彼女は私の金色の瞳と目が合うと、傍目にもびくりと肩を跳ね上げる。
「ひ、姫様・・・本日は、お目覚めだったのですね・・・」
怯え切った彼女の声にため息の一つも漏らしたくなるが、私はただ頷いた。
「本日はこれから、成人の儀がありますので・・・お着替え、お手伝い致します」
そう言ってリーンが差し出してきたのは、たっぷりと純白のレースがあしらわれた裾の長いドレス。
違うとはわかっていても、花嫁衣裳を彷彿とさせる色に思わず顔をしかめた。
私がぼんやりとしている間に手際良く着替えを済ませ、彼女はヴェールを手に取る。
ドレスと同色の白いヴェールはドレスよりもむしろこちらの方が本当に花嫁のようだが、決定的に違うところがある。
光を通さないのだ。中からも、もちろん外からも、何も伺い見ることはできない。
つまり、私の異端の印である黄金の瞳は国民たちの目には全く触れないということなのである。
本当に良く考えているなと、小さく笑いを零す。
「・・・どうかなされましたか?」
驚いたように顔を向けてきた彼女に私は表情を自然に真顔に戻し、首を振った。
でも、なんか・・・声が出せるんだって、もうばれてもいいかな。
どうせ私は、明日にはここに居ないのだから。
リーンは不気味そうに首を微かに傾けたものの、結局気のせいだということにしたようだった。