だから、お前はほっとけねぇんだよ



「お疲れ様でしたー」


あっという間に日は沈み、あたしはバイト終了。

パパっと着替えを済ませたあたしは、琥侑のいる佐賀里家へと足を踏み入れた。




「……あっ‼」



店と家を繋ぐ廊下をそろそろ歩いていると、偶然にも琥侑に遭遇。



「……何、母さんに用事?母さんなら買い物だぞ?」


「ち、違う‼今は琥侑に用事があって……」



なかなか本題を言えずもじもじ話すあたしに苛立ってか、だんだん眉を顰めていく琥侑。




「あのさ!ホラ今日お昼に言ってたじゃん!バンソーコーの事‼」


「ああ、お礼か。決まったのか?」


「うん!だからちょっと来てよ」



「ね?」と首を左に傾けて可愛くお願いしてみる。

しかし、琥侑はただ黙ってあたしを凝視しているだけ。



「……な、何よ」


「……ぃや、何も?コイツバカだなー、と思って」

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