だから、お前はほっとけねぇんだよ
「よく俺んち分かったな」
天野の部屋に案内されて、差し出された缶ジュースを受け取った。
「ああ、ヒメに連れて来てもらった」
天野とは目線を合わせずプルタブを開けると、プシュッと軽い音が静かな部屋に響いた。
「…………」
言葉が見つからず、沈黙が続く。
先に口を開いたのは……
「……聞いたんだろ?」
天野だった。
「は?……何を」
天野が言った意味が解らず、俺は顔を歪める。
「姫瑚にキスした事。……だから来たんだろ?」
「あー……まぁ」
俺はどうしたら良いか分からず、曖昧に返事をした。
……何だか、想像していたのと違う。
天野はもっと覚悟を決めてヒメにキスしたんだと思っていた。
でも実際、天野は弱気だし……。
「……ごめん」