だから、お前はほっとけねぇんだよ
俺はハーッと深く溜息を吐き、あがった息を整える。
「自分の気持ちに中途半端で終わんな。ヒメに告って……ケジメ付けろ」
俺はそう言って、天野の胸ぐらを離した。
解放された天野は俺から少し距離を取る。
「……佐賀里はそれで良いのか?」
「良くねーよ。でもヒメが俺に向かってお前の話すんのはもっと嫌なんだよ」
他の男のことをヒメが俺に話すのは正直面白くない。
しかも、それがずっととか考えたくもねぇ。
俺の気持ちを察したのか、天野は少しだけ口角を上げた。
「……ありがと」
天野は部屋から飛び出ていった。
……そして、
「……どうすりゃいんだよ」
人の家に残された俺は、ただ呆然と部屋を見渡した。