だから、お前はほっとけねぇんだよ

その言葉を聞いて、あたしはグッと喉が詰まった。



「へ……」


なんで……?



「それよりちょっと付き合ってよ。姫瑚と行きたい所あるんだ」


「行きたい所?」



何だかやけに上機嫌なてんちゃんに連れられ、あたしは家を後にした。


……でもやっぱり頭によぎるのは琥侑の事。



琥侑……

ウチに来るって、約束したのにな。



なんだか哀しくなったあたしは俯き、てんちゃんの足元だけを頼りに歩く。

……と、てんちゃんが歩くのをやめた。



「……?」



不思議に思い顔を上げると、そこは近所のタイヤ公園。

幼い頃、てんちゃんとよく遊んだ……思い出の場所。




「着いたよ」



そう言って笑ったてんちゃんは、心なしか大人びて見えた。

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